心の繋がりというものは、目に見えぬもの。
それがどんなに強い絆であると信じたくとも、
人はつい、もっと強い繋がりを求めてしまう……





                              









「……はぁっ……んんっ……」



大きく広げられた翼に隠されて、
アレンのくぐもった声が木霊する。


最初はちょっとした焼もち。
胸の中に灯ったわずかなものが、どんどん大きくなって
得体の知れない嫉妬に変わる。


身体を繋げる事にさほど意味があるとは思えない。
そう思いながら、必死で欲望をコントロールしてきたユウの意思を、
アレンはいとも簡単に打ち砕いてしまった。


一度火がついてしまった感情を抑える事など、
もう誰にも出来はしない。
ユウは自分の手の中で啼く可愛い小鳥を
めちゃくちゃにしてしまいたい衝動に駆られる。
何度も激しい口付けを繰り返しては、その息を唾液ごと飲み込んだ。


息苦しさから逃れようと、唇を開くたびに、
待ち構えていたようにユウの舌がアレンの口内に侵入する。



「……んっ……ふぅんっ……」



歯列の隅々まで確認するように、ゆっくりとユウの舌が口の中を這い回る。
舌を絡ませたり時には軽く吸い上げられて、アレンは切なさに涙を流した。



「……はぁ……っ……」



どちらのものとも判らない唾液が、飲み込めないまま頬を伝って幾重にも零れ落ちる。



「……アレン……他のどんな奴とも、お前を比べることなんてできやしねぇ……
 誰よりもお前のことが……好きだ……」
「……ユっ……ユウっ……!」



ユウの言葉はアレンの心にしっとりと染み込む。
望む言葉を口にされ、そのうえその相手と肌を触れうことの出来る幸せを、
アレンはしっかりと噛み締めていた。



「……あっ……」



今まで塞がれていた唇がようやく開放されたかと思うと、
ユウはその唇を徐々にアレンの首筋へと移動させる。
何度も吸い上げられて、
アレンの首筋には桜色の痣が、いくつも滲み出していた。
 

真っ白な羽に覆われた絹の肌が、ピンク色に色付いて、
より一層艶かしさを増している。
ユウはアレンを真上から見下ろしながら、
その色っぽさに満足げに微笑んでみせた。



「その顔……そそられる……」
「……やっ……んなこと……いわないで……」



首筋に吸い付いていた唇を、今度は耳元へと移動し、耳朶を甘噛みする。
ユウの甘い吐息が耳の中に入り込み、柔らかい舌の感触を感じた瞬間、
アレンはぞくぞくとする痺れに背中を仰け反らせた。



「あっ……やぁ……んっ……」



あまりの快感に、頭の中に薄い靄がかかる。
恥ずかしさと気持ちよさが入り混じって、口元から自然に声が漏れ出した。
それを必死で抑えようとするが、すればするほど苦しくなって
結果的に漏れ出す嬌声はユウの欲望を刺激するばかりだった。


身体の中に湧き上がる熱がどんどん大きく膨らんで、
アレンの中心部を大きく張り詰めさせる。
こんな欲望が自分の中に存在しているなんて、今まで思ってもいなかった。
ただ愛しい人を見つめて、傍に居られるだけで充分だとばかり思っていたのに。
 

ユウが望むのならば、己の身体を提供する事など容易い事だと思っていたが、
まさか自分から、こんなにも激しく彼を求める時がくるなんて……



「なんか……へんです……僕っ……」



敏感なアレンの身体は、僅かなユウの動きにも反応を示す。
快感に身を委ねることを良しとしない純朴な天使が、
あっさりとその快感に飲み込まれようとしていた。


ユウは快感のあまり唇をきつく噛み締めるアレンの口に
自分の指を忍び込ませる。
口にした指が淫らに濡れる頃には、ユウは胸元に咲く花にその唇を移した。



「……あっ……やぁっ……!」



小さく叫んで抵抗を示すも、胸元の蕾はすぐにユウの口に含まれてしまう。
舌で撫でられ、甘く歯を添えられるたび、アレンの背中に電流が走る。
ぞくぞくとした甘い快楽に、アレンは知らず知らずのうちに、
己の中心部を奮い立たせ、先端から甘い蜜を滴らせていた。


自分に触れている相手がユウだとおもうだけで、
お腹のあたりが熱くなり、どうしようもなく感じてしまうのだ。


ユウの掌がアレンの身体のラインに沿ってゆっくりと下に流れだす。
胸元から腰の線をなぞり、その中心部に触れ暖かな手で包み込むと、
アレンは身体を大きく奮わせた。



「やっ……だめっ……!」



ユウはそのしなやかな指先でアレンの先端を弄ぶ。
数回軽く扱いただけで、ユウの掌はその液で湿りを帯びた。
まだ未熟なそこは、掌にすっぽりと収まってしまうほどだったが、
未知の刺激には弱いらしい。


唇での愛撫を徐々に下へと移動させ、脇腹から腰へと舌を這わせる。
そして、今度は手にしていたアレンの中心部をゆっくりと口に含んだ。



「やっ……んぁぁっ……」



舌先で舐め上げ軽く吸啜しただけで、
アレンはあっという間に大きな嬌声を上げて身体を震撼させた。



「あっ、ああっ……!」



瞬時で口の中に暖かい飛沫が解き放たれる。
ユウはそれを一口で飲み干すと、残りの液を丹念に己の指へと塗りつけた。



「……あぁっ……んふぅっ……」



欲望を解き放ったアレンがまだ甘い開放感に陶酔していると、
自らの液で濡れたしなやかな指が、ゆっくりとアレンの後吼に忍び込んでくる。


硬い肉壁を押し広げて入り込んでくる違和感に、アレンは思わず身体を強張らせた。



「大丈夫だ……身体の力を抜いて、黙って俺を感じていればいい」
「……ユ……ウっ……は……あぁっ……」



自分の中に入り込むユウの指が、除々に奥まで侵入してくる。
身体の中で動く愛しい人の指……何ともいえない奇妙な感覚。
 

その数が二本三本と増えるたびに、
アレンは総毛立つような意味不明の感覚に襲われた。
蕾の入り口付近が焼けるように熱い。
 

体内に潜り込んだ指は、硬い蕾を押し広げるように、
ゆっくりと円を描きながらどんどん入ってくる。
自分の放った液体が潤滑油になって、くちゅくちゅと淫らな音を響かせているのが、
アレンには恥ずかしくて仕方なかった。


アレン自身はユウの口に咥えられながら、
既に一度果てたというのに、もう元気を取り戻している。


自分はこんなにも淫乱な欲望の持ち主だったのだろうか。
きっとユウも呆れているに違いない。
そう思うだけで恥ずかしさに眩暈がした。


だがそんな羞恥心も、あっというまに何処かへ持っていかれてしまう。
奥まったある一箇所を刺激されると、
アレンは今まで感じたことの無い快感に嗚咽し、涙を零した。
びくりと背中を震わせると、咽喉元を仰がせる。
ユウはそんなアレンの反応を見逃さずに、執拗に感じるポイントを攻め立てた。



「やっ……だっ……だめぇぇ……!」



意識ごと何処かへ持っていかれそうな快感。
何かにしがみ付いていなければ、自分が自分で無くなってしまいそうな気がする。
 

ふるふると首を何度も左右に振りながら、アレンは必死でユウの背中に手を回した。
ユウの身体と自分の身体が密着するたびに、
欲情しているのは自分だけではなく、彼も同じだと感じる。
 

いつもクールな彼の吐息も、どんどん加速していく鼓動も、熱く昂ぶるユウ自身も、
何もかもがアレンの五感を刺激した。



「もぅ……ダメっ……ねぇ……来て……」



ユウが欲しい。
身体ごと心ごと、彼の全てを自分の身体で感じたい。
そう心から思った瞬間、今までとは全く違った圧迫感が、アレンの後孔を襲った。



「うっ……ああっ!」



小さな悲鳴をあげてアレンは息を吐き出した。
身体を二つに引き裂かれそうな痛みと共に、
ユウ自身がアレンの中に入り込んでくる。


その圧迫感といったら相当なもので、
今まで彼の指を咥え込んでいたときとは比べ物にならない。
 

だが、ユウに優しく背中を擦られるたびに、
彼の愛情が身体にしみこんでくるようで、アレンは徐々に身体の力を抜いて、
それを受け入れようとしていた。


気がつくと、その全てがアレンの中に埋め込まれ、
アレンははぁはぁと虫の息で短い呼吸を繋ぎとめていた。



「……大丈夫か……?」



労わる様に投げかけられる視線が愛しい。
目の淵に自然に溜まった涙を、ユウは優しく舌で拭った。
 

その痛みは耐えられる限界を超えたものだったが、
彼と一つになれた喜びで、
アレンは無理して彼の問いかけに小さくこくりと頷いてみせた。



「……だい……じょ……ぶ……」



アレンの返事がやせ我慢だと察したユウは、
何度もキスを繰り返し、宥めるようにその背中を擦る。
そんな彼の優しさが身にしみて、アレンは腕の中で小さく微笑んだ。


優しくキスを繰り返し、愛しげに身体を擦るうちに、
痛みで萎えかけたアレン自身も徐々に硬さを取り戻している。
アレンの中で静かに脈打つ塊は、
今にもはちきれそうにその存在を主張し続けていた。 



「動いても……いいか?」



ユウの方も限界なのだろう。
痛々しいほどに膨れ上がっているユウ自身がそれを物語っている。



「……いい……ですよ……
 キミで、僕を……めちゃくちゃに……して……」


艶っぽい瞳で呟かれただけで、ユウの中で何かが弾けだす。
ユウは絡み付く肉襞を押し分けるように腰を揺すった。
 

一端引き抜かれたモノが、再びアレンの身体の中に入り込む。
その瞬間、ユウの硬く張り出した部分が内壁の奥のしこりを捕らえ、
アレンはあまりの快感に嗚咽した。


擦られる度に、アレンは大きな嬌声を上げては身体を震わせる。



「あっ……ああっ……やぁぁっ!」



襲い来る未知の快感に、アレンは息を詰まらせた。
何度も抜き差しされる律動に重ねて刺激されるたび、
すでにこの身体が自分のものでないように激しく悶えているのがわかった。
 

アレンが感じてその内腔を締め付けるたび、ユウの方も辛そうな声を漏らす。
ユウの濡れて掠れた声がアレンの耳元を掠ると、
その声に感じてアレンも溜まらずに声を上げた。
互いの息がどんどん速まりだしていた。



「ユっ……ユウっ……!」
「ア……レンっ……」



濡れた身体を押し開いて、ユウはより深くアレンの身体の中に入り込む。
もう既に美しい庭園の景色でさえ、二人の視界には入らない。
 

背中の羽が芝生に擦れて出る音も、
接合部から漏れ出す淫らな水音も、
全てが欲情的なエッセンスとして二人の感覚を煽っていた。
 

ユウは除々に激しくアレンを突き上げ、本能に身を任せだす。
それと同時にアレンの腰が跳ね上がり、広げた脚がピクリと引きつった。


「ボクの全部をっ……キミのものに……して……」
「ああ……お前の心も、身体も、全部俺のモンだ」


心と身体だけではない。
ユウが望むなら、魂ごと全て捧げてしまっても構わない。
アレンは快楽に歪む視界の中でそう思っていた。



「あぁっ……やっ、もうダメっ!」



そう叫ぶと同時にユウを迎え入れている蕾がぎゅっと縮まった。
アレンの何もかもがユウ一色に変わる瞬間。
今までの自分も、これからの自分も、全てはユウのために存在する。
そう感じた瞬間、アレンはとうとう我慢できずに、
己の欲望を身体の外へと吐き出した。


同時にユウも、身体の奥から熱い塊が激しい欲望となって
全身を駆け抜けたのを感じた。



「……っ……!」



力いっぱいアレンの腰を掴み自分の方へと引き寄せると、
固く瞳を閉じてユウはその熱をアレンの中へと解き放つ。



「やっ……ああっ!」
「……くっ……」



ユウの鼓動を身体の中に感じながら、
彼がゆっくりと自分の上に覆いかぶさってくるのを感じる。
けだるい身体にユウの重みが心地よい。
吐き出される吐息の暖かさも、顔に覆いかかる艶やかな黒い髪も、
彼の全てが愛しい。
 

出会った時はこんな風に想い合えるなんて思ってもいなかった。
それでも想いは募る一方で、彼のことを考えない時はないほど、
毎日がユウで埋め尽くされていた。
 

愛しい人と結ばれた幸せを噛み締めながら、
アレンの意識は真っ白な世界へと、投げ出されていったのだった。




                                  













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≪あとがき≫

とうとう身体ごと結ばれた二人……(@>。<@)
心も身体も一つになって、互いに溶け出してく感覚……!
いいですねぇ〜この二人、サイコーですよっっ(≧∇≦)~~*

しっかぁ〜し、ここはやはり連載です!
このままでは済みません!!

この後、第9話から、話はどんどん進展してまいります。
ぼちぼちと更新してまいりますので、皆様、
楽しみにお待ちになっていてくださいませ〜〜m(_ _ ;)m




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〜天使たちの紡ぐ夢〜   Act.8